株式会社イー・キュー・ジャパン代表取締役会長兼社長
山 直 (たかやま なお)
おかげさまで、EQという概念はずいぶん広く知られるようなりました。多くの企業や団体、学校などでEQを導入いただき、人材育成や組織づくりなどに生かされています。
ところで、そういったお客様からよく「EQを導入すると、すぐに成果に結びつきますか」という質問をいただきます。つまり、「EQは即効薬ですか」というわけです。
この質問にお答えするのはなかなか難しい側面があります。というのは、質問にある「成果」のイメージが、質問される人によってまちまちだからです。たとえば、「成果」が売上の増大であったり利益が上がることだとすれば、残念ながらEQは即効薬とはいえないかも知れません。EQを発揮することで営業担当者が取引先と良好な人間関係を築くことは売上にも良い影響を与えますが、そのためには一定の時間が必要になります。
では、個人や組織のコミュニケーションではどうでしょう。ここでも即効性があるものと、そうでないものとが考えられます。たとえば勉強もそうですが、ある学科を短期間勉強したからといってすぐに総合的な学力がつくわけではありません。ただし、短期間であっても勉強したことは身につきますし、何よりも勉強するという姿勢を自分のものにすることが出来れば、なにものにも代えられない財産になります。
EQも同じで、何らかの自己目標を設定し、自分の行動を変えていけば周囲との関係も変わっていきます。そういう点では即効性も期待できます。ただし、それを継続することが重要で、そうやって初めて本当に豊かな人間関係を育てていくことができます。つまり、勉強する姿勢を自分のものにすることが財産であるように、EQを発揮する姿勢を身につけ習慣化することが大切なのです。
こういったことから、「EQはすぐに効きますか」という質問には、「EQは漢方薬です」と答えるようにしています。即効性が期待できる場合もありますが、おおむね本人が持っている基礎的な体力を着実に強める効果のほうが大きいといった意味です。
また、「EQを発揮する姿勢を身につける」というと、おおげさな決心や努力が必要なように感じられる人もおられるようですが、そんなこともありません。実際におやりになれば分かりますが、自分の行動を変えると周囲から好意的な反応が返ってきます。これは、その人にとって「快い」ものであり、その快さが行動の継続につながるのです。
本連載も今回が最終回です。1年間のご愛読にこころから感謝申し上げるとともに、ぜひとも、豊かな人間関係と充実した暮らしの実現のために、EQを上手に活用していただければと願っております。
